忍者通訳の記録帖

気配の通訳・翻訳所。空気、沈黙、すれ違い、視点の跳躍──そしてたまに、自分自身。精度はいつも道の途中。  

#451 LINEの「たった数行」に隠された、思いやりと共感の循環を読み解く

LINEの返信というのは、いつもちょっとだけドキドキするものだ。
こちらの思いは、ちゃんと伝わったのか。相手はどう受け取ったのか。
思いがけない一言に、えっ?と戸惑った経験がある人も、多いかもしれない。

とても暑い日が続いていたある日、
私は、少し久しぶりに知人にLINEを送ってみた。

数日前に「頭がズキズキしてて、たぶん暑さや気圧のせいかも」と話していたことが気になって、
少しだけ体に寄り添うようなメッセージを書いた。

実際にはもっと事務的な関係だったが、
このやりとりを少しだけフィクションにしながら、
「やさしさは、どう届いて、どう返ってくるのか」——
そんなことを考えてみたくなった。


📱 フィクションLINEのやりとり

わたし → 相手

ムシムシしてしんどいね🥵
この前言ってた“頭のズキズキ”、ちょっと心配になってたよ🚦
私も最近は食欲なくて、冷やし中華とかそうめんとか、チュルチュルしたものばっかり食べてる〜🍜
少しでも涼しく、のんびりできますように🌿

相手 → わたし

いろいろ気にかけてくれてありがとう😊
今日は久しぶりに炊き込みご飯を食べたょ🍚
息子一家が来てたから、ちょっと頑張ってご飯作った〜🤗
それにしても暑いね🩠 湿気がすごくてクーラーつけてもジメジメ🥺
○○さんはどうだった? 少しはラクに過ごせたかな?

🔍 返信の構造を読み解く

💬 相手のことば:
「いろいろ気にかけてくれてありがとう😊」

🔎 見えてくること:
共感を受け取ったことに対する丁寧な感謝

💡 言葉の背景にあるもの:
自分の体調の話がきちんと覚えられていたことが嬉しい

💬 相手のことば:
「今日は久しぶりに炊き込みご飯を食べたょ🍚」

🔎 見えてくること:
自分のコンディションや行動を、具体的にシェアしている

💡 言葉の背景にあるもの:
身体を通した日常の共有が、信頼の表現になっている

💬 相手のことば:
「息子一家が来てたから、ちょっと頑張ってご飯作った〜🤗」

🔎 見えてくること:
“がんばったこと”を笑顔で伝えてくれる

💡 言葉の背景にあるもの:
誰かのために動くことに、自然な喜びがある

💬 相手のことば:
「それにしても暑いね🩠 湿気がすごくてクーラーつけてもジメジメ🥺」

🔎 見えてくること:
暑さの不快さを“自分の言葉”で重ねて返す

💡 言葉の背景にあるもの:
温度・湿度などの“体感”を大切にする感性

💬 相手のことば:
「○○さんはどうだった? 少しはラクに過ごせたかな?」

🔎 見えてくること:
最後にまた相手を気づかう

💡 言葉の背景にあるもの:
“一方通行”で終わらせず、やさしさを循環させてくれる


✨ おわりに

この短いやりとりの中に、
相手なりの“感じとる力”と“返す力”がちゃんと生きていたのだと感じた。

こちらが寄り添うように言葉を送ると、そのやさしさをまっすぐに受け取ってくれる。
そして、その言葉は今度は“やさしさのかたち”になって返ってくる。

言葉は見えないけれど、どこかでちゃんと届いて、
届いた先で、相手の中の“あたたかさ”を引き出すのかもしれない。

LINEのやりとり——そのたった数行の中にも、
そんな静かなやさしさの循環が、そっと息づいているように思えた。

☞ 次にLINEを送るとき、あなたはどんな“思いやり”を込めるだろうか?