序章:2025年のニュースから 2025年10月 朝のニュース欄で、ふと目を止めた見出しがあった。 「GEもAmazonも断った」三菱商事の洋上風力、1年前に狂った歯車。 秋田県沖をはじめ、三菱商事が国家プロジェクトとして進めていた洋上風力発電。あの、再生可能…
私たちは人の言葉を読み、誰かの思索の余韻を受け取りながらそれを胸の奥で静かに発酵させる。 時間をかけて、⏳自分というフィルターを何度も通し、やがてそれは他の誰にも届きにくい色に変わっていく。 それは――自分だけの風景を持つということ。 けれど、…
第1章 はがきの午後 ある午後、ポストに一枚のはがきが届いた。赤い地に金の文字。✨「全品20%オフ」艶やかな寿司桶の写真が、まるで絵画のように光っていた。 金の花模様の黒い寿司桶の中に、美しく並ぶ寿司たち。赤い背景の鮮やかな印刷。切手代をかけて…
はじめに:怒りが届かない理由をもう一歩だけ考える 物価が上がり、給料は増えず、暮らしが少しずつ苦しくなる。けれど、その不満はなぜか政治家や政府には向かわない。 誰かが悪いというより、社会の仕組みのどこかに偏りがあるのだと思う。 以前の記事では…
はじめに:怒りが届かない国 最近、「日本人の不満は、なぜかいちばん肝心なところに届かない」という意見を耳にします。たとえば、物価が上がって生活が苦しい。働いても給料が増えない。「グローバル化のせいだ」とか「移民が増えたからだ」とか、いろんな…
昔から不思議だった。なぜ人は、何十年も同じような絵を描き、同じような彫刻を作り続けるのだろう、と。 色も形も、少しずつ違うけれど、どこか似ていて、まるで同じ魂の影をなぞっているように見える。 けれど今、少しだけ分かった気がする。 それは、魂の…
私の知っているある女性が、ある時こう言った。「やっぱりリーダーは男の人がいいよね。男の人は頭がいいし、安心する」 最初に聞いたとき、私は少し引っかかった。けれど話を聞くうちに、それは決して「女性のリーダーが嫌い」とか「女の人は頭が悪い」とい…
ちいかわというのは、「なんか小さくてかわいいやつ」という意味のキャラクターだ 白くてピンクでふわふわまぁるい小さな生きものたち──ちいかわ、ハチワレ、うさぎ。 彼らは、言葉少なに、けれど健気に毎日を生きている 主人公のちいかわは、ほとんどしゃべ…
ときどき思う。世界には、「思考の石」をただ置いていく人がいる。 それは、思索の断片をポンと投げ出して、あとは受け取る人に任せるような書き方。読者はその石をどう踏み、どう渡るかを、自分で見極めなければならない。 橋はかかっていない。けれど、そ…
第二次世界大戦の時代、ドイツのユダヤ人として生まれた女性哲学者がいました。名前は ハンナ・アーレント。彼女は、ナチス・ドイツのユダヤ人迫害(ホロコースト)から逃れ、フランスを経てアメリカへ亡命しました。そして戦後、世界がまだナチスの傷跡から…
文学には、ふたつの呼吸がある。ひとつは、感情のうねりに耳を澄まそうとする呼吸。もうひとつは、世界の構造を見通そうとする呼吸。 このふたつは対立ではなく、むしろ互いを補い合う。感情は構造の中で輪郭を持ち、構造は感情によって意味を得る。陰と陽が…
知り合いの二十歳そこそこの男の子が、SNSの自己紹介にこう書いていた。 駆け出しブロガー|物書き志望✍️アドセンス×Amazonアソシエイトで収益化挑戦中「書いて食って死にたい」修行中の20歳男子。#小説家志望 #ブログ初心者 その文字を見たとき、私は少し胸…
最近、「責任」について書いている文章を読んで、つい自分もいろいろ考えてしまいました。会社や学校、家族やコミュニティの中で「責任」という言葉は本当によく出てきますよね。 外から押し付けられる責任 責任って、まずは外側からやってくるもの。「あな…
マジ、ウケるー 最近ね、とある文章で「ギャルマインド」ってやつが紹介されてたんよみんなギャルって聞くとさ、金髪濃いメイクノリで生きてるってイメージない?「勉強、うざっ、ムリ〜♀️」「今、楽しければオッケー☆」みたいな。 でもその人が言ってたの…
遠くでトントン、 と小さな響きがする。 言葉を重ねるたびに、見えない誰かの鼓動がかすかに重なる気がした。 そっと空へ手を伸ばす。返ってくるものはなくても、わずかな揺れが伝わるだけで心は静かに満たされる。 それはきっと片思い。けれど——人生は そう…
⚖️ 勝間和代という人──合理性と揺らぎのなさ かつてはテレビで経済評論家として活躍していた勝間和代さん。彼女は会計士として、当時最年少の10代で資格を取り、外資系コンサルティング会社マッキンゼーで働き、トレーダーを経て独立しました。経済や子育て…
先日読んだ文章で「東京の早食い文化」について触れられていて、とても印象に残りました。 そこでは東京・新宿の老舗カレー店で、隣に座った女性が驚くほど早く食べ終えたのを見て、「回転率を意識した後の人への気遣いなのでは」と感じたそうです。 さらに…
昔、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』(19世紀ロシア文学)を読もうとして、あまりの分厚さに途中で挫折したことがありました。文庫版では全4〜5冊に分かれ、合計で2000ページ近くになる大作です。その後、AmazonのAudible(オーディブル:Amazonが…
1. はじめに 春先、土のあちこちから顔を出す“つくし”。 その姿は可愛らしくて、つい写真に撮りたくなる。 でもやがて消えていくと、入れ替わるように“スギナ”が生い茂ってきます。 じつは、このふたりは同じ地下茎でつながっている。 見た目はまるで別人な…
あるブログを読んでいて、印象に残った言葉がある。その筆者が警察の人から聞いた話だという。 「大きな事件の“本当の大物”はまず捕まらない。捕まるのは、うっかり証拠を残してしまう“小物”ばかりなんだ。」 たしかに、と頷いてしまう。大きな不正をする人…
コロナ禍から再開した畑 コロナのあいだ畑を休んでいたら、気づけば雑草だらけ…。去年から再開しましたが、準備不足で石灰も堆肥も入れずに始めてしまい、野菜と同じくらいスギナが元気に生える畑になってしまいました。(日本の土は雨が多いせいで放ってお…
はてなブログだけを使ってきた私ですが、試しにAmebaブログ(アメブロ)をのぞいてみました。トップには北斗晶さんや中川翔子さんなど芸能人・有名人の顔がずらりと並び、写真多めの日常投稿がとても賑やか 。一方で、私が読みたい/書きたいのは構造や背景…
さむいね…風がひゅうっと吹いて、 体の奥まで冷たさがしみる。赤ちゃんナスたちは 小さいまま。 まだ実になれず、 とまってしまったよ。 でもね、お兄さん。わたしはまだ咲いているよ 薄むらさきの花びらを そっとひらいて、ひっそり、 ここで笑ってるんだ…
あるブログで、小学校4年生のお子さんが文章を書くことについての保護者の視点を読んだ。✍️学校の先生に相談しながら気づいたのは、子どもは「楽しい」と思えば自然に書く、ということだった。✨ その一文から、私は自分の過去の体験を思い出した。 高校時代…
通販生活という雑誌を、昔からずっと不思議に思ってきた。出版社のカタログハウスが年に数回送ってくる通販カタログで、本来は「暮らしを便利にするグッズ」を紹介するものだ。 誌面をめくると、学者や小説家、ジャーナリストといった文化人がずらりと登場…
① 導入 先日ニュースを眺めていたとき、ファイザーという会社の名前が目に入りました。記事には「アメリカ国内で薬の輸入関税がかからないことで、ファイザーにとって有利に働いた。そしてファイザーの株価が上がった」と書かれていました。けれど私は正直、…
9月初めに書いた #700 の記事「健康サプリのはずが…? サントリー会長・新浪さん辞任から見える、日本の薬物規制とSNS時代のリスク」では、海外製サプリをきっかけにサントリー会長を辞めることになった新浪剛史さんを取り上げました。 日本ではごく微量でも…
アメリカでは政府が止まることがある? アメリカでは毎年9月の終わりに「政府が止まるかもしれない」というニュースが流れます。これは「政府閉鎖(シャットダウン)」と呼ばれるものです。 アメリカでは「大統領がこれにお金を使いたい」と提案しても、実…
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし」 ――鴨長明『方丈記』は、仏教的な無常観を端的に描き出す。すべて…
2018年のある日。大手家電量販店の売り場で、私は自分が担当する商品の荷物をレジに運びながら、その先で繰り広げられる光景を脇から眺めていました。 レジ前には長い長い列。特に中国から来た観光客が多く、両手いっぱいに化粧品や小型家電を抱え、ときには…