忍者通訳の記録帖

気配の通訳・翻訳所。空気、沈黙、すれ違い、視点の跳躍──そしてたまに、自分自身。精度はいつも道の途中。  

#2457 足もとの時間

古い歴史の教科書を開く。

見覚えのある写真。
知らない人々の顔。
遠い日の街並み。

ページをめくる。

そこには
喜びも、悲しみも、
過ちもある。

忘れられたことも
たくさんあるのだろう。

本を閉じる。

ふと、自分の来た道を思う。

若い日のこと。
うまくいかなかったこと。
もう思い出せないこと。

あの頃には
見えなかったものがある。

過ぎた時間は
どこへ行ったのだろう。

窓の外に
いつもの木が立っている。

見えない根が
土の深くへ伸びている。

今日もその上に
光が差している。