忍者通訳の記録帖

気配の通訳・翻訳所。空気、沈黙、すれ違い、視点の跳躍──そしてたまに、自分自身。精度はいつも道の途中。  

#2451 言葉のあとに

本を読んでいる。

ある一行で手が止まる。

何かが心に触れたような気がする。
けれど、うまく言葉にならない。

そのままページを閉じる。

誰かと話していても、
ふと沈黙が訪れることがある。

言葉を探しているのかもしれない。
ただ、そこにいるだけかもしれない。

急いで埋めなくてもいい。

聞いた言葉も、読んだ言葉も、
すべてを理解しなくていい。

心のどこかに残るものがある。

忘れてしまうものもある。

それから日々が過ぎていく。

いつもの道を歩く。
風が吹く。
木々の葉が揺れている。

ふいに、あの日の言葉が戻ってくる。

以前とは少し違う響きで。

何かが変わったのだろうか。

わからない。

また歩きはじめる。

木々のあいだを
風が通り抜けていく。