本を読んでいる。
ある一行で手が止まる。
何かが心に触れたような気がする。
けれど、うまく言葉にならない。
そのままページを閉じる。
誰かと話していても、
ふと沈黙が訪れることがある。
言葉を探しているのかもしれない。
ただ、そこにいるだけかもしれない。
急いで埋めなくてもいい。
聞いた言葉も、読んだ言葉も、
すべてを理解しなくていい。
心のどこかに残るものがある。
忘れてしまうものもある。
それから日々が過ぎていく。
いつもの道を歩く。
風が吹く。
木々の葉が揺れている。
ふいに、あの日の言葉が戻ってくる。
以前とは少し違う響きで。
何かが変わったのだろうか。
わからない。
また歩きはじめる。
木々のあいだを
風が通り抜けていく。