忍者通訳の記録帖

気配の通訳・翻訳所。空気、沈黙、すれ違い、視点の跳躍──そしてたまに、自分自身。精度はいつも道の途中。  

2026-02-05から1日間の記事一覧

#1556🌒ゆがんだ鏡

そこに立つと、 身体は少し遅れてついてくる。 細くなったり、 横に流れたり、 足だけが先に伸びたりする。 正しく映らない、ということが 最初から約束されている。 だから、直そうとしなくていい。 整えなくていい。 「これが本当かどうか」を確かめなくて…

#1555 身体の位置、世界の形

座っていた。 ストーブの前で、身体を丸めていた。 立ち上がった瞬間、 世界の配置が変わった。 机の上が見え、 さっきまで影だったものが前に出てくる。 見上げていたものを、今度は見下ろしている。 同じ部屋なのに、 同じではない。 少し歩く。 一歩ごと…

#1554 白かった

撮らなかったというより、撮る、という動作が立ち上がらなかった。 歩いていると、白い花が目に入った。 桜だと思う。けれど、よく知っている桜よりも花は小さく、色も淡い。主張がなく、少し引いた位置にいるような咲き方だった。 白い、という印象だけが残…

#1553 止められた身体

写真があまり好きではない。 昔からそうだった。 集合写真に入ると、息が止まる。 履歴書の写真を撮ると、身体がこわばる。 「はい、笑って」と言われるたびに、何かが削られていく感覚があった。 それがなぜなのか、長い間、わからなかった。 私は、見ると…

#1552 👤影と鏡👁️

影で遊ぶのが、好きだ。電気をつけたとき、壁に映る自分の輪郭。昼間、太陽光が差し込んで、床や壁に伸びる細長いシルエット。手を動かせば、影も動く。身体をひねれば、影もひねられる。そこには遅れがなく、判断もなく、ただ同期だけがある。影は、私を評…

#1551🌒影絵

見る。けれど、見つめる前に、もう動いている。手を上げると、壁の向こうで、同じかたちが遅れずに生まれる。命令したわけではない。考えたわけでもない。動きが、現れを連れてくる。私は影を操作していない。影も、私を見てはいない。それなのに、私がここ…

#1550 身体が、出来事になってしまった場所

私は、ただそこにいただけだった。 見ようとしたわけでも、動かそうとしたわけでもない。 それでも、 私の視線が届き、 相手の表情が揺れ、 空気が変わった。 見ることと、見られること。 感じることと、感じさせてしまうこと。 巻き込まれることと、影響を…

#1549 身体の射程

歯の色を口にした瞬間、 先生のまわりに 黒い気配が立ち上がった。 ◼︎ 言葉より先に、 説明より先に、 身体がそれを受け取っていた。 △ 私は読んだのではない。 開いた。 その結果として、 不穏がそこに在った。 ▢