忍者通訳の記録帖

気配の通訳・翻訳所。空気、沈黙、すれ違い、視点の跳躍──そしてたまに、自分自身。精度はいつも道の途中。  

#2571 空を見上げる

空を見上げる。

あの向こうには何があるのだろう。どこかの惑星にも、空を見上げている誰かがいるのだろうか。

そんなことを考えているうちに、いつの間にか、生きることや死ぬことを考えている。

人は死ぬとき、自分の人生をどう振り返るのだろう。

よく働いた。人の役に立った。誰かを幸せにした。いい人生だった。

そう思える人もいるだろう。

私も、そういう人たちを尊敬している。社会は、日々働き、誰かの困りごとを解決してくれる人たちによって支えられている。

けれど、私は少し違う。

誰かの何気ない言葉や、ふとした表情が気になる。なぜあんなことを言ったのだろう。なぜ私はこんなふうに感じたのだろう。

考えているうちに、また別のことが気になってくる。

答えが出るとは限らない。

何かの役に立つとも限らない。

そんなことを考えて、誰かと話して、また考えて、ときどき文章にする。

GDPには、ほとんど貢献しない時間だろう。

それでも、不思議と満たされている。

なぜそうなのか、自分でもよくわからない。

生まれつきの気質なのか、これまで生きてきた時間がそうさせたのか。

ただ、そうなのだ。

いつか私も、自分の人生を振り返る日が来る。

そのとき、何を思うのだろう。

もっと働けばよかったと思うのか。もっと人の役に立てばよかったと思うのか。

それとも、あの空はきれいだったな、と思うのだろうか。

今日も空を見上げる。

答えはまだない。

けれど、こうして考えている時間が、私は好きなのだ。