忍者通訳の記録帖

気配の通訳・翻訳所。空気、沈黙、すれ違い、視点の跳躍──そしてたまに、自分自身。精度はいつも道の途中。  

2025-10-10から1日間の記事一覧

#860🪞忘れる読書、熟す思考──ショーペンハウアーをめぐって

1. ショーペンハウアーという人 ドイツの哲学者 アルトゥル・ショーペンハウアー(1788–1860) は、人間の「欲望」や「苦しみ」を冷静に見つめた、どこか孤高の思想家だった。彼は、学問や世間の名声よりも「自分の頭で考えること」を重んじ、その姿勢は今…

#859🔥 反知性主義という“偽装された感情動員装置”――トランプ、カーク、そして「知性」のゆくえ

Ⅰ.知識に反旗を翻す人々 アメリカではいま、「反知性主義」という言葉が再び力を持ちはじめている。それは単なる“無知の称揚”(知識や理性を軽んじ、感情や“素朴な常識”こそ正しいと持ち上げる風潮のこと)ではない。むしろ、エリートたちが築いた世界への…

#858🌫️ 自己正当化の階段  ──AI新興オルツの崩壊を見つめながら 

Ⅰ.はじまり──まだ静かだった頃 2014年。 オルツという会社が生まれた。 人工知能という言葉がまだ今のように騒がれる前、 ほんの一部の研究者と開発者たちだけが、その可能性を信じていた時代。 彼らは「AIで人の仕事を軽くできる社会をつくる」と語った。…