忍者通訳の記録帖

気配の通訳・翻訳所。空気、沈黙、すれ違い、視点の跳躍──そしてたまに、自分自身。精度はいつも道の途中。  

#336 与沢翼という構造への逆張り──国家を信じ、制度の裏を突く投資 (第3章) 

 

🟦 1. はじめに:YouTubeライブで語られた「資産運用の内訳」

2025年7月8日、与沢翼インフルエンサー・投資家)がYouTubeライブで自身の資産運用について語った。特に注目されたのは、誰もが想像しない「30年物米国債」に50億円規模で投資していたことだった。

彼の話を聞いて、私は投資のこと以上に、「思想」としての与沢翼の姿勢に強く引きつけられた。この文章は、彼の資産配分についての簡単な説明と、それを聞いて私が考えたことを書いたものである。

🟦 2. 与沢翼の現在のポートフォリオ(解説)

🔹 核心
米国30年債を数年前(2020〜21年頃)に購入
満期は2050年。あと25年保有予定
年4回、約1.6億円のクーポン収入
投資額はおそらく50億円前後

🔹 状況と背景
購入時はコロナ禍の金利ゼロ時代
今(2025年)は金利が上がっており、債券価格は下がっている(=含み損)
だが彼は「売るつもりはない」と明言している

🔹 投資のスタンス
「株は持っていない。クーポン収入で米国株を少しずつ買いたい」と発言
不動産は整理中(ドバイ・フィリピンなどの27物件ほど) ※内容はあくまで私の理解によるもので、細部にズレがあるかもしれません。気になる方は、ぜひ、ご本人のYouTubeでご確認ください。

🟨 3. 誰もやらない投資──与沢翼の異常性

ここで私は強く感じた。これは単なる資産運用ではない。思想的選択だ。

個人で30年債?
しかも金利が最も低い時代に?
今後25年も動かさずにクーポンだけ受け取り続ける?

多くの強気の投資家は、コロナショックで株が暴落したときに「底打ちかも?」と株を買った。実際、数ヶ月で株式市場は急回復した。FRBゼロ金利政策と大量の資金供給が効いた。

でも与沢翼は、その波に乗らなかった。いや、そもそも違う波を見ていた。

🟧 4. 「リセッションは来る」──超逆張りの賭け

彼が賭けたのは、「アメリカは破綻しないが、景気後退(リセッション)は30年間のうちに必ず1回は来る」という未来。

もしそれが来れば:
FRBは利下げする
債券価格は上昇する
含み益が出る → そこで売却すれば大きな利益

来なければ:
クーポン(年2億円)をもらい続ける
満期まで待てば元本は返ってくる

つまりこれは、“国家の崩壊ではなく、国家の不調”つまり、リセッションに賭ける投資なのだ。

🟥 5. 私が見た「思想としての反逆者」

彼の投資には、どこか“国家への反逆”のような香りがある。制度を信じながら、制度の裏側を突く。信用はしている、でも「その制度はたまに破綻しかける」とも思っている。

誰もが株を買い、誰もが回復を信じる時に、彼だけは「国債の暴騰はその後に来る」と考えていた。市場の裏側から、構造そのものに賭けていた。

他人の資産を預かって、運用する立場の人間、つまり 機関投資家や金融のプロには、決してできない投資。個人だからこそ選べる、「正解の外側」の選択肢。

🟩 6. 最後に:与沢翼という現象

彼のことを「ただの成金」と思っていた人もいるかもしれない。でも私は思った。彼はただの金持ちではない。彼は“投資の構造”を使って、「時代」に逆張りし続けている人だと。

その投資スタイルは、数字の話というよりも、信念の話だった。

私は、彼の恐るべき逆張り思考と、国家に対する静かな反逆に、与沢翼という人間の真髄を見た気がした。それはただの投資ではなく、「時代を読む」ということの、もっと深く孤独な営みだったのかもしれない。